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気持ちを言葉にできないとき、どう手伝うか

気持ちを聞き出すより、選べるようにする。そのほうが伝わることがあります。

言えないのは、言葉がまだ無いから

「どうしたの?」に答えられないのは、隠しているからではなく、いまの状態に当てはまる言葉がまだ手元にないことが多いためです。

大人でも、動揺している最中に自分の気持ちを正確に言葉にするのは簡単ではありません。

そこで、ゼロから言葉にしてもらうのではなく、いくつかの選択肢から選べる形にします。選ぶだけなら負荷がずっと小さく、言葉が出ないときでも指をさせば伝わります。

なぜ「言葉にする」は難しいのか

気持ちを言葉にするには、いくつもの段階が必要です。自分の中の感覚に気づき、それに名前があることを知っていて、その中から近いものを選び、相手に伝わる形で口に出す——この一連を、気持ちが動いている最中にやることになります。

加えて、強い感情のさなかは言葉が出にくい。これは誰にでも起こることで、落ち着いてから「さっきはこうだった」と話せる場合も多くあります。

その場で言えないことは、分かっていないことと同じではありません。

だからこそ、聞き方を変える意味があります。「どうしたの?」は開かれた質問で、答えるのに一番手間がかかる形です。「これ? それとも、これ?」のほうが答えやすくなります。

手伝い方の手順

  1. まず落ち着ける状況をつくる:気持ちが大きく動いている最中は、選ぶことも難しくなります。刺激を減らし、時間を置いてからのほうが伝わります。
  2. 選択肢を少なくして示す:一度にたくさん並べると選べません。2つか3つから始めます。
  3. 選んだものを、そのまま受け取る:「そうか、いやだったんだね」と、選んだ言葉をそのまま返します。ここで理由を問い詰めないことが大切です。
  4. 強さも一緒に扱う:同じ「いや」でも、少しなのかとても強いのかで対応が変わります。程度も選べるようにしておくと、より正確に伝わります。
  5. 落ち着いてから振り返る:時間が経ってから「あのときは、これだったね」と一緒に見直すと、次に同じ状態になったときの手がかりになります。

落ち着いているときにこそ、言葉を増やしておく

気持ちの言葉は、困っている最中には増やせません。落ち着いているときに、日常の中で少しずつ触れておくほうが身につきます。

すぐに使えるようにならなくても構いません。

言葉に触れた回数が、いざというときに選べる材料になります。

あわせて、大人の側も無理をしないでください。気持ちが動いている場面に付き合うのは消耗します。その場で完璧に対応できなくても、落ち着いてから戻ってくれば十分に伝わります。

うまく対応できなかった日があっても、それで積み重ねがなくなるわけではありません。

避けたい対応

くり返す場面は、あらかじめ手を打てる

気持ちが大きく動く場面は、家庭ごとにだいたい決まっています。買い物の途中、遊びを終えるとき、予定が変わったとき——記録を取るまでもなく、思い当たる場面がいくつかあるはずです。

くり返す場面が分かっているなら、その場での対応だけでなく、起きる前に手を打つことができます。買い物の前に買うものを決めておく、遊びの終わりを先に見せておく、予定変更を早めに伝えておく——いずれも、気持ちが動く前に見通しを渡す方法です。

これは我慢させるための工夫ではなく、不意打ちを減らす工夫です。

同じ出来事でも、心の準備があるかどうかで負担はかなり変わります。すべての場面に備えることはできませんが、頻度の高い場面をひとつ選んで手を打つだけでも、日々の消耗は変わってきます。

選べる形にする道具

みとおしのきもちメーターは、いまの気持ちを選んで表せるツールです。言葉が出ないときでも、選ぶだけで伝えられます。入力した内容は端末の中だけで扱われ、外部には送信されません。

気持ちが動きやすい場面が決まっている場合は、絵カードスケジュールで先の見通しを示しておくと、そもそもの負荷を減らせることがあります。切り替えの場面がきっかけになりやすいなら視覚タイマーも合わせて使えます。

よくある質問

選択肢はいくつくらいがよいですか?

まずは2つか3つから始めてください。多いほど丁寧に見えますが、選ぶこと自体が難しくなります。慣れてきて「どれも違う」と言えるようになったら増やす、という順番だと無理がありません。

選んだ気持ちが実際と違う気がします

違っていても、まずはそのまま受け取ってください。訂正されると、選ぶこと自体をやめてしまうことがあります。回数を重ねるうちに、より近い言葉が選べるようになっていきます。最初から正確さを求めなくて大丈夫です。

大人が代わりに言葉にしてもよいですか?

「こういう感じかな?」と確かめる形なら役に立ちます。ただし決めつけにならないよう、違うと言える余地を残してください。本人が首を振れる関係があることのほうが、正確に言い当てることより大切です。

気持ちを表せるようになりますか?

そうとは限りません。これは伝え方の選択肢を増やす補助的な方法で、効果を保証するものではありません。合う方法はお子さんによって違います。気持ちの表し方や対人関係で困りごとが続く場合は、医師・臨床心理士・特別支援の先生など専門家にご相談ください。

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お読みください。この記事とみとおしのツールは、日々の見通しづくりを助ける補助的なものです。医療・診断・治療を目的とするものではなく、特定の効果を保証するものでもありません。合う方法はお子さんによって違います。気になることがあるときは、医師・臨床心理士・特別支援の先生など専門家にもご相談ください。
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