シールを貼る仕組みは、作り方より「続け方」で差が出ます。
がんばり表は、できたことをその場で目に見える形にし、たまったら決めておいたごほうびと交換する仕組みです。「トークンエコノミー」とも呼ばれます。
この仕組みでつまずく原因は、たいてい作り方ではなく設定の甘さにあります。とくに多いのが、目標があいまい、ためる数が多すぎる、途中でルールを変えてしまうの3つです。
ここさえ押さえれば、道具そのものは紙でも画面でも構いません。
ほめ言葉は、その場で消えてしまいます。「さっきできたね」と言われても、どれくらいできているのかは残りません。印がたまっていく形にすると、これまでの積み重ねがそのまま見えるようになります。
もうひとつは、ごほうびが遠すぎないこと。「できたら週末に」では、いま頑張る理由と結びつきません。印がその場で1つ増えるなら、行動と結果が近い場所でつながります。
大人の側にも利点があります。何ができていて何が残っているかが見えるので、注意する回数が自然に減り、できている部分に目が向く。
この仕組みがうまくいくかどうかは、ほとんど目標設定で決まります。目安を挙げます。
目標が合っているかどうかは、数日使えば分かります。印がまったく増えないなら難しすぎ、毎回すぐたまるなら易しすぎです。どちらも調整すればよいだけで、失敗ではありません。
設定を直すことは、仕組みがうまく働いている証拠でもあります。
なお、目標は増やさないほうがうまくいきます。
ひとつ定着したから次を足す、と重ねていくと、どれも中途半端になりがちです。定着したものは仕組みから外し、常に取り組む対象は1つだけにしておくと、本人にとっても分かりやすい状態が保てます。
家庭で効果があった場合、園や学校でも同じ仕組みを使いたくなることがあります。共有するときは、表そのものより目標と基準を先に伝えるほうが伝わります。「何ができたら印がつくのか」が同じでないと、場所によってもらえたりもらえなかったりして、本人が混乱するためです。
また、家庭と園・学校で別々の表を持つ形でも構いません。無理にひとつにまとめようとすると更新が追いつかず、どちらも中途半端になります。それぞれの場所で、その場に合った目標を1つずつ立てるほうが現実的です。
伝えるときは「うまくいっている場面」も一緒に共有すると、先生の側も再現しやすくなります。困っていることだけを伝えるより、できている条件が分かるほうが、次の一手を考えやすいためです。
目標と基準をそろえたいときは、がんばり表の「URLで渡す」が使えます。がんばること・ごほうび・個数まで含めてURLになるので、「何ができたら印がつくのか」を文章で説明し直さずに共有できます。別々の表を持つ場合でも、たたき台として渡せば作り直す手間が減ります。なおURLを知っている人は誰でも開けますので、個別のメッセージで渡してください。
みとおしのがんばり表は、目標とためる数を決めて、できたその場で印をためられるツールです。紙やシールの準備がいらないので、まず試してみたいときに向いています。入力した内容は端末の中だけで扱われ、外部には送信されません。
「何をしたら印がもらえるのか」を手順として示したい場合はやることステップと組み合わせると、行動と結果の対応がはっきりします。
物である必要はありません。一緒に遊ぶ時間、好きな絵本を読む、寝る前に少し長くお話しする、といった関わりそのものがごほうびになることも多くあります。むしろ物に偏ると用意し続けるのが難しくなるので、関わりを中心にしておくほうが長く続きます。
減らさないことをおすすめします。減らす仕組みを入れると、たまった分を失う不安が中心になり、取り組み自体が嫌なものになりやすくなります。できなかったときは増えないだけに留め、できたときに確実に増やすほうが機能します。
最初は3つから5つ程度が目安です。数が多いとゴールが遠く感じられ、途中で関心が切れてしまいます。交換できた経験を何度か重ねてから、少しずつ増やすほうが無理がありません。
印がなくてもできる場面が増えてきたら、少しずつ減らしていって構いません。この仕組みは目的ではなく、行動が定着するまでの足場です。なお、これは補助的な方法であり効果を保証するものではありません。うまくいかない場合は専門家にもご相談ください。